「見る人が見ればわかっちまうからよ。」
そう、少し照れながら大将は語る。
寿司「なら本」では、山葵は静岡産のものしか使わない、と決めている。
静岡の中でも天城産のものだけだ。伊豆の天城山からコンコンと湧き出る
清流で丹精込めて作られた最高級の山葵だけを「なら本」では使用している。

山葵にもコダワリがあるのだから、使うネタにはもっとコダワリがある。
江戸前の魚を中心に考え、毎朝魚屋を3往復して、その日の一番いいネタを決める。
それは職人的な直感だ。素材と大将とのコミュニケーションだ。
一目見ればその素材の新鮮さや、舌の上の食感はわかる。
よし、今日はこのネタで行こう。
そう決めると、大将は店のネタ箱にネタを収める。
そのネタ箱はどこか輝いて見えた。
次はシャリだ。
ネタ以外の素材にももちろんこだわりがある。シャリ、野菜、卵などは、
若山祥夫博士が経営する株式会社ウィル・サーチの福島県矢祭農場発に
こだわっているのだ。
土作りからこだわる若山祥夫博士と何度も農場へ足を運び議論を重ねてきた大将との
融合が寿司なら本の真骨頂なのだ。
肴の部分では大将が自ら干した魚の開き(一夜干し)や、シイタケ・
たけのこなどを備長炭で焼き上げるのも特徴。
お酒が好きな人にはたまらないのは、ネタとお酒の距離が近い
ということ。ネタはネタだけで口に入れるわけじゃなく、お酒と
一緒に頂くもの。であるならば、やっぱりネタとシャリ、お酒の
関係は大事。なら本のお酒は前述した矢祭農場の近くで取れる
地酒を中心に取り揃えている。もちろん、焼酎・ワイン・シャンパンなども
揃っており、お酒好きを楽しませるのには万全の構えだ。







